英語ニュースの読み方(見出し編)

Headline(見出し)とは、新聞記事の上にある短いタイトルのことを指します。英語ニュースにあまり慣れ親しんでいない人にとって、 headline はとても理解しにくいのではないでしょうか。その理由の一つに、英字新聞の見出しは、特別な書式で書かれているからだ、ということが言えます。この書式には、文法上の特別なルールがあるのです。

文法上と言うといささか小難しそうですが、限られたスペースに、インパクトのある表題を付けようとした結果生まれた表現ですので、一度その特徴を理解してしまえばあとは自然に理解することが出来るでしょう。

短く、簡潔

ニュースの見出しは、読者が記事の内容を素早く理解できるようにするために、情報を短く簡潔にまとめることが求められます。見出しは読者の目を引き、記事を読むかどうかを決める重要な要素です。

Obama Wins Election

オバマ氏当選

“Barack Obama has won the presidential election”を短くし、誰が何をしたかといった主要な情報を簡潔に伝えています。

Stocks Surge

株価急騰

“Stock prices have surged in the market today”を短くし、株価が急騰したという動きに焦点を当てています。

名詞だけ

見出しの中には、動詞を省略して名詞だけを並べたものがあります。見出しをさらに簡潔にし、主要な情報を強調するための方法です。このような見出しは特に大きなニュースや重大な出来事を報じる際に使われることがあります。

Election Results Controversy

選挙結果に論争

Market Crash Panic

市場崩壊でパニック

冠詞・be動詞・助動詞の省略

Prime Minister Visits Japan

首相、日本を訪問

フルセンテンスでは”The Prime Minister is visiting Japan”となり、冠詞の”The”とbe動詞の”is”が省略されています。

Hurricane Causes Major Damage

ハリケーンで大きな被害

冠詞の”The”とbe動詞の”is”が省略され、フルセンテンスでは”The hurricane is causing major damage”となります。

限られたスペースを最大限に活用するために、助動詞や不要な動詞が省略されることも多いです。見出しが短く簡潔になり、読者の関心を引きやすくなります。

New Policy Approved

新政策が承認

“The new policy has been approved by the government”の「has been」が省略されています。

過去のことも現在形で

ニュースをより緊急かつ即時性のあるものとして伝えるため、見出しでは現在形が使用されることが多いです。過去の出来事でも、現在形を使うことで、読者に対してその出来事が今まさに起きているかのような印象を与えることができます。

Floods Devastate Region

洪水で地域が崩壊

フルセンテンスでは”The floods devastated the region yesterday.”ですが、現在形を使用することで、過去の出来事でも読者にその影響がまだ続いていることを示唆しています。

Japan Team Clinches Victory

日本チームが優勝

フルセンテンスでは”The Japan team has clinched the victory in the final match.”となります。

今まさに進行中のことは現在進行形で

現在進行形の見出しは、出来事が今まさに進行中であることを強調し、読者に臨場感や緊急性を伝えるために使われます。

President Addressing Nation on Crisis

大統領が危機について国民に演説

Rescue Teams Searching for Survivors

救助隊、生存者を捜索

過去形? いや、受け身です

一見過去形に見えますが、be動詞を省略した受動態もよく用いられます。受動態を使用することで、行動の結果や影響を受けた対象(人、物、場所)に注目が集まります。また、受動態は、行動者よりも出来事そのものに焦点が当たるため、記事の客観性を保つことができます。

Policy Rejected by Congress

議会で政策が否決

フルセンテンスでは”The policy was rejected by Congress.”となります。

Vaccine Approved by FDA

ワクチン、FDAが承認

こちらも実は受動態で、フルセンテンスでは”The vaccine was approved by the FDA.”です。

未来のことはto不定詞で

Central Bank Expected to Raise Interest Rates Next Month

中央銀行、来月利上げへ

フルセンテンスでは”The central bank is expected to raise interest rates next month.”となります。

Olympic Games to Begin in July

オリンピック、7月開幕へ

フルセンテンスでは”The Olympic Games are scheduled to begin in July.”です。

名詞? 動詞?

多くの見出しでは、一つの単語があるときは名詞として、またあるときは動詞として用いられます。その単語の品詞が名詞なのか動詞なのかが、我々にとっては非常に分かりにくいものです。これについてもいくつか例を挙げてみます。

U.S. Cuts Aid to Third World

アメリカ、第3世界への援助を削減

この場合、cut は動詞、aid は名詞として使われています。

Aid Cuts Row

援助削減で紛糾

この場合、cut と aid は両方とも名詞として使われています。

Cuts Aid Rebels

削減が革命派を助ける

この場合、cut は名詞、aid は動詞として使われています。

強い動詞の使用

強い動詞を使うことで、読者の注意を引きつけ、ニュースの重要性やインパクトが強調されます。出来事の意味や感情的な重みが強化され、読者に対してより印象的なメッセージを伝えることができます。

Government Enforces New Regulations

政府、新しい規制を施行

普通の動詞を使うと”Government Implements New Regulations”となりますが、”implements” は “enforces”ほど強い圧力や強制性を感じさせません。

Hackers Breach Security Systems

ハッカー、セキュリティシステムに侵入

“Hackers Enter Security Systems”の表現も成り立ちますが、 “enter”は”breach”ほど侵入の深刻さを感じさせません。

記号を含む

見出しでは、コロン(:)を用いて、何の事件についての見出しかを説明することがあります。

Strikes: PM to Act

ストライキ: 首相、行動へ

Motorway Crash: Death Toll Rises

高速道路での事故—死亡者数増える

また、quotation marks (‘…’)を用いて、その言葉が誰によるものなのかを表すこともあります。

Crash Driver “Had Been Drinking”

事故起こしたドライバー「飲んでいました」

question mark (?)は、未確認情報だということを表します。

Crisis Over by September?

9月までに恐慌終わる?

英語ニュースの見出しの特徴を理解することで、ニュース記事の重要性や緊急性を迅速に把握できるようになります。ぜひ、これらのポイントを活用して、より深いニュース理解と英語力向上を目指してください。

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英語ニュースの読み方(記事の構造編)

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英語のニュース記事は、情報を効果的に伝えるために特別な構成を持っています。この構成を理解することで、ニュースを読むスピードが上がり、英語力も向上します。

英語のニュース記事で最も一般的に使われる文章構成の一つに「逆三角形型構造」があります。この構造では、最も重要な情報を最初に配置し、その後に詳細な情報や背景情報が続きます。

逆三角形型構造のニュース例を見ていきましょう。

Earthquake Strikes City, Thousands Affected

A massive earthquake struck the city of XYZ today, causing widespread damage and affecting thousands of residents.

The storm brought heavy rains and strong winds, leading to the overflow of rivers and widespread power outages.

This storm comes just two years after a similar event caused significant damage to the same area.

One local resident described the scene as “utter chaos” and expressed concern for the safety of their family.

Meteorologists predict that the storm will continue to move inland, potentially causing further damage.

見出し

Earthquake Strikes City, Thousands Affected

記事の内容を一言で要約し、読者の興味を引くようにします。

リード

A massive earthquake struck the city of XYZ today, causing widespread damage and affecting thousands of residents.

記事の冒頭部分で、最も重要な情報を提供します。5W1H(Who, What, When, Where, Why, How)を含むことが一般的です。

本文

詳細な被害状況、政府の対応、被災者の声など。
リードに続いて、詳細な情報や背景情報が提供されます。本文は通常、以下の順序で構成されます。

The storm brought heavy rains and strong winds, leading to the overflow of rivers and widespread power outages. …(1)

This storm comes just two years after a similar event caused significant damage to the same area. …(2)

One local resident described the scene as “utter chaos” and expressed concern for the safety of their family. …(3)

Meteorologists predict that the storm will continue to move inland, potentially causing further damage. …(4)

英語のニュース記事では、各パラグラフは通常1〜2文で構成され、読みやすさが重視されています。また、関係者や専門家の引用や証言が頻繁に含まれています。これにより、記事の信頼性が高まり、多様な視点が提供されます。そして、主要な事実が述べられた後、背景情報や関連する歴史的文脈が書かれることがあります。

(1)は詳細情報です。最初の段落で紹介した主要な事実をさらに詳しく説明します。

(2)では追加の背景情報を提供しています。出来事の背景や関連する過去の出来事について説明しています。

(3)は引用や証言。関係者や専門家のコメントを含め、記事の信頼性を高めます。

(4)ではさらなる影響や反応について書いています。出来事が今後どのような影響を及ぼすかについての予測や分析を提供します。

逆三角形型構造の記事を読む

逆三角形型構造は、ストレートニュースが多い通信社系の記事で多く触れることができます。いくつか主要な通信社サイトをご紹介します。

まとめ

英語のニュース記事は、情報を迅速かつ効果的に伝えるために設計されています。逆三角形型構造は、読者が最も重要な情報をすぐに把握できるようにするための効果的な方法です。これを理解し、実際に英語のニュース記事を読む際に意識することで、英語力が向上します。次回、ニュースを読むときは、ぜひこの構造を意識してみてください。

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【英語でニュース解説 #4】時価総額世界第2位に躍進 エヌビディアってどんな会社?

時価総額の急上昇

Nvidia’s market capitalization recently surpassed Apple’s, making it the world’s second-largest company by market value. This meteoric rise can be attributed to the surging demand for its advanced graphics processing units (GPUs), which are crucial for artificial intelligence (AI) and machine learning applications. As the world increasingly relies on AI for various industries, Nvidia’s role as a leading supplier of high-performance computing hardware has propelled its stock to new heights.

エヌビディアの時価総額がアップルを超え、世界で2番目に大きな企業となった。この急激な成長は、人工知能(AI)や機械学習アプリケーションに不可欠な高度な画像処理ユニット(GPU)の需要急増に起因している。世界がさまざまな産業でAIに依存するようになる中、高性能コンピューティングハードウェアの主要サプライヤーとしてのエヌビディアの役割が株価の上昇を後押ししている。

AIとデータセンター

A significant driver of Nvidia’s growth is its dominance in the AI and data center markets. The company’s GPUs are preferred for their parallel processing capabilities, which are essential for training complex AI models. Data centers, which underpin cloud computing and big data analytics, also heavily invest in Nvidia’s technology to enhance computational efficiency and speed. This trend has translated into substantial revenue growth and solidified Nvidia’s position as a tech powerhouse.

エヌビディアの成長を支える重要な要素は、AIとデータセンター市場における支配的な地位だ。同社のGPUは、複雑なAIモデルのトレーニングに不可欠な並列処理能力が優れていて、好まれている。また、クラウドコンピューティングとビッグデータ分析の基盤となるデータセンターも、計算効率と速度を向上させるためにエヌビディアの技術に多額を投資している。このトレンドが大幅な収益増加に繋がり、エヌビディアの技術大手としての地位を固めている。

革新と戦略

Nvidia’s success is also a result of its relentless innovation and strategic acquisitions. The company has continually improved its GPU architecture, introducing new products that outperform competitors. Additionally, Nvidia’s acquisition of Mellanox and ARM has broadened its technological portfolio, enabling it to venture into new markets and integrate vertically. This strategic foresight has allowed Nvidia to stay ahead of the curve in a rapidly evolving tech landscape.

エヌビディアの成功は、絶え間ない革新と戦略的な買収にも起因している。同社はGPUアーキテクチャを継続的に改良し、競合他社を上回る新製品を導入する。また、メラノックスとアームの買収は技術ポートフォリオを拡大し、新たな市場への進出と垂直統合を可能にした。この戦略的な先見性により、急速に進化する技術環境でエヌビディアが先んじることができている。

今後の展望

Looking ahead, Nvidia’s prospects appear bright. The expansion of AI, the Internet of Things (IoT), and autonomous vehicles will likely continue to drive demand for Nvidia’s products. The company is also exploring opportunities in the metaverse and virtual reality spaces, which promise to open new revenue streams. As Nvidia continues to innovate and capitalize on emerging technologies, it is well-positioned to maintain its growth trajectory and reinforce its status as a leading tech giant.

今後を見据えると、エヌビディアの見通しは明るい。AI、モノのインターネット(IoT)、自動運転車の拡大が引き続き製品需要を促進するだろう。同社はメタバースやバーチャルリアリティ分野にも機会を模索しており、新たな収益源を開拓することが期待されている。エヌビディアが革新を続け、新たな技術を活用することで、その成長軌道を維持し、技術大手としての地位を強化することができるだろう。