RNN時事英語辞典

英語ニュースの読み方(見出し編)

Headline(見出し)とは、新聞記事の上にある短いタイトルのことを指します。英語ニュースにあまり慣れ親しんでいない人にとって、 headline はとても理解しにくいのではないでしょうか。その理由の一つに、英字新聞の見出しは、<特別な書式>で書かれているからだ、ということが言えます。この書式には、文法上の特別なルールがあるのです。

文法上と言うといささか小難しそうですが、限られたスペースに、インパクトのある表題を付けようとした結果生まれた表現ですので、一度その特徴を理解してしまえばあとは自然に理解することが出来るでしょう。

その1 不完全な文の形

見出しは常に完全な文の形をしているとは限りません。見出しの多くは動詞のない、名詞句で成り立っています。

  • More Wage Cuts
    また賃金削減
  • Holiday Hotel Death
    休日のホテルに死体
  • Exeter Man's Double Marriage Bid
    エクセターの男、重婚を企てる

その2 名詞ばかり

見出しは多くの場合、3つや4つ、あるいはそれ以上の名詞を含んでいます。一連の名詞の中では先にある名詞が、後に続く名詞を変化させます。例を見てみましょう。

  • Furniture Factory Pay Cut Row

この headline は我々にとってはとても分かりにくいものだと思われます。なぜなら、すべて名詞のみで構成されているからです。このような場合、後ろから読んでみるととても分かりやすくなることがあります。上の例の場合、<家具工場 賃金引き下げで騒動>となりますが、実際に考える際には後ろから、<「家具」を作っている「工場」における「賃金」の「削減(引き下げ)についての「騒動(いざこざ)」>となります。

その3 冠詞・be動詞の省略

見出しは冠詞やbe動詞を省略することがあります。

  • Shakespeare Play Immoral, Says Headmaster
    校長、「シェイクスピアの劇はふしだらだ」と語る
    → be動詞の省略
  • Woman Walks on Moon
    女性 月面を歩行
    → 冠詞の省略

その4 過去のことも現在形で

見出しでは、現在時制が進行形や完了形の代わりに用いられます。また現在形は現在の出来事と過去の出来事、両方を表します。これについては日本の新聞でも同様のことが言えるでしょう。実際に例を見てみましょう。

  • Blind Girl Climbs Everest
    盲目の少女、エベレストを登る
    → … has climbed …
  • Students Fight for Course Changes
    学生ら、教育過程変更に対抗
    → … are fighting …

ただし、特に変化について述べるときは、現在進行形の形を取ることもあります。be動詞は通常省略されます。

  • Britain Getting Warmar, Say Scientists
    「イギリスは年々暖かくなっている」と科学者
  • Trade Figures Improving
    貿易数字が改善

その5 過去形ではなく受け身

一見すると過去形ですが、その3で触れたようにbe動詞を省略した受け身表現があります。

  • Man Arrested over Hit-and-Run
    ひき逃げ事件で男を逮捕
  • CEO sued by investor
    CEO、投資家に告訴される

その6 未来のことはto不定詞

見出しでは、未来のことを表すときに to不定詞を用います。これも その3 で触れたようにbe動詞を省略した表現です。

  • PM to Visit Australia
    首相、オーストラリアを訪問 [予定]
  • Hospitals to Take Fewer Patients
    病院の受け入れ患者数減少へ [予定]

その7 名詞? 動詞?

多くの見出しでは、一つの単語があるときは名詞として、またあるときは動詞として用いられます。その単語の品詞が名詞なのか動詞なのかが、我々にとっては非常に分かりにくいものです。これについてもいくつか例を挙げてみます。

  • U.S. Cuts Aid to Third World
    アメリカ、第3世界への援助を削減
    → この場合、cut は動詞、aid は名詞として使われています。
  • Aid Cuts Row
    援助削減で紛糾
    → この場合、cut と aid は両方とも名詞として使われています。
  • Cuts Aid Rebels
    削減が革命派を助ける
    → この場合、cut は名詞、aid は動詞として使われています。

その8 記号を含む

見出しでは、コロン(:)を用いて、何の事件についての見出しかを説明することがあります。

  • Strikes: PM to Act
    ストライキ: 首相、行動へ
  • Motorway Crash: Death Toll Rises
    高速道路での事故—死亡者数増える

また、quotation marks ('…')を用いて、その言葉が誰によるものなのかを表すこともあります。

  • Crash Driver 'Had Been Drinking'
    事故起こしたドライバー「飲んでいました」

question mark (?)は、未確認情報だということを表します。

  • Crisis Over by September?
    9月までに恐慌終わる?

参考文献: Practical English Usage - second edition
Michael Swan, 1995 Oxford University Press